ブリュッセルでパスポートと全財産を盗まれた話⑤

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悲劇の地・ブリュッセル南駅。

一縷の望みにかけて駅構内の遺失物センターへ足を運んでみる。

盗まれた鞄が捨てられた末に届けられていればいいんだけど・・・

 

自分「あの、出発前の電車内で鞄を盗ま...」

遺失物センターのおじさん「盗難だと?そいつは俺の仕事じゃねえな!」

自「いや、盗まれた後に...」

遺「盗難の話は警察にしてくれ。」

自「えーとその、青い鞄が...」

遺「警察なら駅の外だ、さあ行った行った。」

自(ダメだ、このおじさんは全く話が通じない・・・)

 

言われたとおり駅の外にある警察の詰め所へ行ってみる。

そこで一通りの事情を説明して、警察の方と一緒に再び駅へ向かうことに。

 

警察官「もしかすると鞄が届けられているかもしれないから聞きに行こう」

自分(えっ、それってもしかして!?)

 

そして、辿り着いた場所は予想通り先ほどの遺失物センター。

 

警察官「こんにちは、ちょっといいですか?」

遺失物センターのおじさん「ああ、おつかれさまです。どうぞどうぞ。」

自(さっきと態度が全然違うじゃねえか・・・)

警「この方の盗まれた鞄が届いてないですかね?青い鞄なんですけど。」

遺「えーと、青い鞄ですか。うーん、今日は届いてないですね。」

自(最初からそう答えてくれよ・・・)

 

こうして微かに残っていた希望すら潰えてしまった。

ただ、警察の方と話している時に、ホテルでパスポートのコピーを取っていたことを思い出せたので、それだけは収穫かもしれない。

コピーでもないよりはマシなので、とりあえずホテルに向かってみることにする。

スペインでパエリアを食すことの難しさについて

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やはりスペイン料理と言えば、真っ先にパエリアが思い浮かぶ。

せっかくスペインに赴くならば、本場の味を飽きるくらいに堪能しておきたいところ。

という訳で滞在中は毎日パエリアを食べるという目標を立てたものの…

 

スペインでパエリアを食べるのは想像以上に難しかった。

下記にどうして難しいのかを書いてみる。

 

①スペイン人はそこまでパエリアを食べない

スペイン人は昼夜問わず毎日パエリアを食べているという勝手なイメージを持っていたけれど、実際は全然そんなことなかった。

スペイン料理のお店だからといって必ずパエリアがあるという訳ではなく、むしろ置いていないお店の方が多いという印象。

特にセビリアグラナダといったアンダルシア地方はこの傾向が強くて、全くパエリアにありつくことができなかった。

まあ、よくよく考えてみると日本人だって毎日寿司を食べる訳ではないので、日本にやってきた海外の方々も同じようなことを思っていたりするのかも。

 

②パエリアは2人前からしか注文できない

1人旅の場合はこちらの理由の方がキツい。

せっかくパエリアのあるお店を見つけても、メニューに注意書きがされている。

 

*para dos personas

 

日本語にすると「2人前から」という意味。

ちょっと無理すれば2人前くらい食べられそうと思いきや、スペイン基準の1人前は日本の2人前くらいある。

つまり、2人前を頼むと4人前が出てくる訳で、これはさすがに太刀打ちできない。

という訳でパエリアを食べたいのならば、少しアプローチを変える必要がある。

 

マドリードにあるサンミゲル市場やフードコートのような場所だと、出来合いのパエリアを1人前から売ってもらえる。

出来合いと言えどもクオリティは高いので、炊き上がりのタイミングを狙うとベストかも。

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あとはごく僅かながらも1人前でパエリアを出してくれるレストランも存在する。

検索してみるとマドリードバルセロナのお店が何軒か出てくるので、狙いうちで行ってみるのもひとつの手。

実際にネットで見つけたお店では雑炊風のアロース・カルドソに挑戦することができた。

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結果的に7泊のうち5食はできたので、我ながら頑張った方だと思う。

ということで以上、毎日パエリアを食べられなかったことについての釈明でした。

ブリュッセルでパスポートと全財産を盗まれた話④

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アムステルダム行きを諦め、ブリュッセルへ戻る電車に乗り込む。

ただ、よくよく考えてみるとアントワープからブリュッセルに戻るチケットを持ってないし、当然ながらチケットを買うお金もない。

もしも検札に出くわした場合はお得意(笑)の英語で事情を説明するしかない。

果たして、説明すれば許してもらえる話なのだろうか…

 

しかし、旅行中の「もしも」って大概は裏目に出るものだったりする。

そして、それは今回も例に漏れず…

 

車掌「チケット見せて」

自分「アムステルダム行きの電車で財布とパスポートを盗まれてしまって…」

車「チケット見せて!!」

自(こ、こいつ英語が通じない!? もしくは、チケット持ってないやつ絶対許さないマンなのか…)

自「いや、財布が…」

車「チケット見せて!!!!」

自(話が通じそうにないから、行きのチケットを見せてみるか…)

 

チケットを手にした車掌が端末でバーコードを読み取る音が聞こえる。

ついに、ここで万事休すか…

 

車「はい、どうも」

自(これでいいのかよ…)

 

こうして、綱渡りながらも宿命のブリュッセル南駅へ戻って来ることができた。

 

つづく

ブリュッセルでパスポートと全財産を盗まれた話③

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どうにか交番へ辿り着いたものの、日曜日はまさかの休業。

いっそのこと110番してやろうかと思ったけど、ここはベルギーなので恐らく警察には繋がらないだろうし、電話で上手く意思の疎通ができる自信もない。(後で調べたらベルギーで110番にかけると迷子用ダイヤルに繋がるらしい)

 

もはや全く打つ手がないので、大通りに出て警察が通りかかるのをひたすら祈ることにする。

そんなに都合よくはいかないだろうと思っていたけど、案外3分もかからず白バイがやって来た。

悪運が少しは残っていそうだと思いつつ、白バイ隊員に事情を伝えたところ、人をよこすので交番で待っていろとのこと。

 

5分くらい交番の前で待っているとパトカーがやってきた。

交番ではなく車内で調書を作るらしく、今世でのパトカーデビューをベルギーで飾ることに。(決してめでたいことではない)

5W1Hで盗難の被害について淡々と聞かれ、あっけなくポリスレポートが完成した。

 

今後のことを相談してみたところ、やはり大使館のあるブリュッセルへ戻るのが無難そう。

ひと通り話が終わったところで、警察官(自分と同年代くらいのイケメン)が唐突に質問してきた。

警察官「ところで、日本人だったらYouもポケモンGOやってるんだろ?」

自分(とんでもなく話をサイドチェンジしてきたな…)

自「まあ、一応やってはいるけど…」

警「せっかくだからボックスを見せてくれよ」

自(せっかく…とは?…)

 

充電器も盗まれた鞄に入っていたので、電池の残量を気にしつつ、恐る恐るポケモンGOを起動したiPhoneをイケメン警察官に渡してみる。

警「やっぱりポケモンの本場は違えんだな」(尊敬の眼差し)

果たしてこんな調子で日本に帰ることができるんだろうか。

 

つづく

ブリュッセルでパスポートと全財産を盗まれた話②

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拙い英語で車掌さんと話をした結果、このままアムステルダムへ向かうのはまずい模様。

シェンゲン協定に加盟していて国境に検問がないとしても、パスポートを持っていない場合は不法入国になるらしい。

あと、日本へ帰るためにはパスポートを盗まれたことを警察に証明してもらう必要があって、ベルギーで盗まれた場合は当然ながらベルギーの当局に被害届を出さなければならないとのこと。

それゆえに次のアントワープで降りて、警察にポリスレポートを発行してもらうことに。

 

海外の駅って警察の人がウロウロしている印象が強かったのだけれど、アントワープには全く警察の人がいないし、そもそも駅の構内を歩いている人すら疎ら。(日曜日だから?)

駅の構内にある警察官の詰所へ行ってみたものの、「出動中だからいないよ」って張り紙が掲示されている。

そんな状況で駅の中を彷徨っていたら大きなライフル銃を持った軍人さんを見つけたので、躊躇なく声をかけてみる。

 

自分「鞄を盗まれて警察官の人を探してるんだけど…」

軍人さん「警察なら向こうに詰所があるよ」

自「いや、出動中で誰もいなかったんだよね」

軍「誰もいないなんてことないだろ、俺らも一緒に行くから確かめてみよう」

アントワープの駅は人気があまりない割にはだだっ広く、スーツケースを引きずりながら200メートルくらいの道のりを戻ることに。

 

まあ、そんな短時間で出動中の警察官が戻ってくるわけもなく…

軍「ホントに誰もいないんだな」

自(だから、そう言ったじゃん…)

軍「駅から少し離れたところに交番があるから、そこへ行くといいよ」

自「どうやって行くの?」

軍「今歩いて来た道を戻って」

自(また200メートル歩くのかよ…)

軍「右に曲がって500メートル」

自(めっちゃ遠いじゃん…)

自「そこにも誰もいないなんてことないよね?」

軍「誰もいないなんてことないだろ」

自(このセリフさっきも聞いたぞ…)

 

軍人さんに言われたとおり歩いてみると、確かに交番があった。

入口にはまた張り紙が掲示されている。

『日曜日は閉鎖』

 

つづく

ブリュッセルでパスポートと全財産を盗まれた話①

年末年始にヨーロッパを旅行していた時の話。

 

旅行も終盤に差しかかり、ブリュッセルからアムステルダムへ電車で向かおうとしていたのだけれど、その車内で鞄を置き引きにあってしまった。

隣の座席に荷物とコートを置いていたのに、気が付いたら鞄だけがなくなっている。

車掌に話をしてみると、自分の鞄らしきものを持った男2人組が停車中の車内を移動しているのを目撃したらしい。

その話を聞いて「この電車はアムステルダムに行くのか」と男2人組から電車の発車前に尋ねられたのを思い出した。

身なりがきちんとしていたこともあって怪しい印象を持たなかったのだけれど、おそらくこの男2人組が犯人なのだろう。

1人が話しかけて自分の注意を引き寄せ、その間にもう1人が背後から鞄を持ち去ったと思われる。

20リットル級の鞄だったので、こんな置き引きの被害に遭遇するなんて夢にも思わず。。。

 

そして、困ったことに鞄の中には財布が入っていた。

普段だと現金の一部はスーツケースに入れて盗難のリスクを分散しているのだけれど、そろそろ旅行の終盤で現金を使い切る必要があったので、キャッシュの全てを財布にまとめてしまっていた。

さらにクレジットカードも財布に入れていたので、この時点で決済を行う手段が完全になくなってしまった。

 

パスポートが無事ならばまだ何とかなりそうなものだけど、残念ながらこれも盗まれた鞄の中に…

こうして自分は身分を証明する手段さえも失ってしまい、「何者でもない一文無し」へと成り下がってしまった。 

 

つづく

FA権

「他球団の評価を聞いてみたい」

FA宣言したプロ野球選手の常套句である。

この発言をした選手は評価を聞くだけにとどまらず、ほぼ間違いなく他球団へ移籍している気がする。

まあ、それはいいとして…


新たにプロの世界に飛び込む野球選手は所属する球団を自分で選ぶことができない。

FA(フリーエージェントの略)の権利を得るまでに少なくとも8年はかかる。

実は、そんなプロ野球選手が苦労して手に入れる権利を一般人は無条件に持っていたりする。


自分が実際に転職活動をしてみて感じたことだけど、現職に少しでも不満があるならば手っ取り早く「他社の評価を聞いてみる」のがいい気がする。

最終的に転職という結論に至らないとしても何らかの気づきが得られるはず。


以上、せっかくのFA権なので行使しないのはもったいないと感じた次第でした。