ブリュッセルでパスポートと全財産を盗まれた話①

年末年始にヨーロッパを旅行していた時の話。

 

旅行も終盤に差しかかり、ブリュッセルからアムステルダムへ電車で向かおうとしていたのだけれど、その車内で鞄を置き引きにあってしまった。

隣の座席に荷物とコートを置いていたのに、気が付いたら鞄だけがなくなっている。

車掌に話をしてみると、自分の鞄らしきものを持った男2人組が停車中の車内を移動しているのを目撃したらしい。

その話を聞いて「この電車はアムステルダムに行くのか」と男2人組から電車の発車前に尋ねられたのを思い出した。

身なりがきちんとしていたこともあって怪しい印象を持たなかったのだけれど、おそらくこの男2人組が犯人なのだろう。

1人が話しかけて自分の注意を引き寄せ、その間にもう1人が背後から鞄を持ち去ったと思われる。

20リットル級の鞄だったので、こんな置き引きの被害に遭遇するなんて夢にも思わず。。。

 

そして、困ったことに鞄の中には財布が入っていた。

普段だと現金の一部はスーツケースに入れて盗難のリスクを分散しているのだけれど、そろそろ旅行の終盤で現金を使い切る必要があったので、キャッシュの全てを財布にまとめてしまっていた。

さらにクレジットカードも財布に入れていたので、この時点で決済を行う手段が完全になくなってしまった。

 

パスポートが無事ならばまだ何とかなりそうなものだけど、残念ながらこれも盗まれた鞄の中に…

こうして自分は身分を証明する手段さえも失ってしまい、「何者でもない一文無し」へと成り下がってしまった。 

 

つづく